催眠療法のルーツ
催眠療法は心理学の親とも言われるほど古い歴史を持っていて、長い間人間の心と身体に関わってきた治療法です。 いつの時代からどんな方法で行われていたのか催眠療法の歴史について解説していきます。
【有史以前から】
催眠と聞くと、テレビや映画の中で見る催眠術のイメージが浮かぶかもしれませんが、実は 催眠療法の歴史は古く、有史以前(約3千年前)から治癒や宗教的儀式のために用いられて いたと伝えられております。 エジプトの医学文献「エベルス・パピルス」には最古の記録が見られるといわれています。 また、古代ギリシャにおいても病気治癒に用いられていました。 近代催眠療法の歴史は19世紀オーストリアの医師フランツ・アントン・メスメルに始まる といわれています。 その後イギリスの医師ジェイムス・プレイドが1843年に神経生理学的観点からの説明を 試み、「神経催眠学」という書物を著しました。 現在に至っても用いられている凝視による催眠法を案出、ヒプノティズム(Hypnotism)と いう言葉を生み出しました。
【催眠術】
催眠と呼ばれるものは、大別して臨床用に応用された医学的・教育的なものと、ショー用に 応用された催眠術ショーなどがあります。 心理療法では臨床用に応用されたものを用います。 これはリラックスを促しながら無意識を優位な状態に導き、思考・行動・感情などに変容を 起こすための援助として施術されます。
【集団催眠】
催眠に類似した意識状態や現象というのは、古代社会における宗教的な儀式や、病に苦しむ人たちを癒す治療手段として、はるか昔から利用されてきました。 また多くの指導者達が、民衆を味方につけるべくその意識状態を利用してきたと言えます。 例えば、ヒトラーは人々を集団催眠にかけたと言われています。 彼は演説をする時にはワーグナーの曲を流して人々の心を高揚させ、その状態の中での演説 は暗示のような絶大な効果を発揮しました。 現代でも演説などで、ポジティブな同じフレーズを繰り返して人々に印象付けるというのは、 その暗示の効果を利用しているといえます。